--------------:--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2008-08-31-Sun-00:00

対岸の星

気づかなかったよ

いつも乗り換えしている駅の
線路を挟んだ
対岸に
どくだみが
咲き乱れていたことに

時は六月
闇に白々と灯るそれは
星くずのようだったことに

わたしが故郷と同化していたころは
この目に映っていても
見えていないものが多かったけれど

水と油が分離するように
故郷を旅立つ心づもりをするようになって
ようやくありありと見えたものがあった

アナウンスが流れる
闇をナイフで切り裂くように
光をかざした電車が来る

足元を潮が引くように
風が吹いて

天の川がきれいな季節ももうすぐ

そして
そのころはもう
わたしはここにいない


2008-07-21-Mon-20:26

恐竜の家出

恐竜の子はいつか
家出しなくてはなりません

ちっちゃなおもちゃ箱のような
部屋のなかで
ぱんぱんにはちきれそうな
若草色の風船のように
ふくらみつつある 恐竜の子は
硝子窓に前足を
ギチギチ押し当てて
くもり空を見上げます

(はやく
 ここを出なければ
 破裂しちゃう)

きゅうくつな壁のそちこちに
体をぶつけながら 恐竜の子は
かき集められるだけの
思い出のかけらを
ボストンバックに積めはじめました

恐竜の子が大きくなった分
父さんは小さくなりました
母さんはさらに
まあるくなって
今では卵のようです

恐竜の子が
卵の殻を割って
はじめて光に射ぬかれたときは
どれほど痛かったのでしょうか

母さんが
お腹を張って
卵を生み落としたときは
もっともっと痛かったのでしょうか

(空が割れんばかりの
 祝福の雨と
 産声と)


恐竜の子はいつか
家出しなくてはなりません

時限爆弾のように
ふくらみすぎて
この家の
屋根を
柱を
ぶち壊してしまう前に

家出しなくてはなりません

いつか
ほんとうに大きくなって
ここに戻ってくるために


2008-07-21-Mon-20:21

別れに

別れに強くなりたくないのです

頬をどんなに風がよこぎっても
冷ややかに笑う人形ではなくて
ときには泣きじゃくるような
人間でありたいのです
いとしいもののそばでは

いろんなものとすれ違えば
いろんな心に染まります
桜吹雪の紅に
川の蒼
落ち葉の金に
霙の灰
いろいろ滲み合って
かなしみのあまり
暗闇のようになってしまいそうだけど

そしたら星を描きましょう
そして夜明けを待ちましょう


2008-07-21-Mon-20:18

わたしの足跡

・・・・ところで最後に
   わたしの足跡を見たのは
   いつだろう?

晴れた空のなかを
急かされるように歩いていると
天気雨のようなクエスチョンマークが
頭をかすめていった

今まで踏みしめてきた道を
地図にして
ざっと広げてみると
アスファルトが
黒い血管のように駆けめぐって
雪野原や
砂浜や
畦道が
心臓のような柔らかさでもって
小さく脈打っている

・・・・足跡は
   どこへ
   行ったのだろう?

風に消されるまでもなく
はじめから空気そのものだった
足跡は
点々と流れていって
どこを旅しているのだろう

歩みを少しゆるめて
地図をたたんで
顔を上げる

毎朝同じ時間に通る
アスファルトの道の端から
たんぽぽが
気持ちのいい悪あがきのように
ふんわり首を振って

この下にも土があることを
そっとささやきかけている


2008-07-21-Mon-20:13

花芯

ほんとうに咲いているの?

今朝まで薄紅の蕾が
ひしめいていた枝に
思わず声をもらしてしまった

ねえ、ほんとうに咲いているの?

夕暮れに染まる風に
梢はこくり頷いて
昨日とは違う揺れ方をしている

永い月日をかけて
待ち焦がれていたはずなのに
いざ咲いているのを目にすると
遥かな香りをあおいでいるようで

夢に落ちる
刹那に聞こえた
子守歌のよう

今、足元をよぎった
少女の影が
幼いころの私にも
百年先の私にも思えて

ここが何処なのかさえ
迷いそうになる

花の雨が
頬をかするころになって
ようやく目が覚めるのでしょうか

あれは、桜

子守歌は、母の口から

この胎の花芯に
温もりを伝え残して
たしかに咲いていたと


RREVHOME NEXT
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。