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2006-03-12-Sun-21:54

氷の瞳



おやすみなさい
の 一歩手前で
あなたが瞼に口づけするたび
生まれて初めて目にした光
を思い出しました

ツキン、と 氷の欠片が飛び散って
あなたが狩人の鋭さでもって
わたしの睫毛に彫刻刀を突き付けて
凍える身体に切なるものを吹き込もうとしているのが
産声のように見えました

わたしは、そう
あなたに作られた氷の人形、でした

おやすみなさい
は 刹那で
日溜まりをたたえた
薄氷のようなもので
足を踏み入れて進もうとしても
二人の眠りは一つの海に沈めない
と知っていたのに

それでも微笑まずにはいられませんでした
だってわたしは
人形 じゃない
冬に魂を売り渡して
人間 になったのだから
後戻りできないまま
ぬくもりの重みで溶けていきました

あなたが
わたしの姿を露わにするまで
氷を削ったように
わたしも
あなたの影で脈打つものを見とおしたい

その思いが
頑なだった両腕を、動かして

二人きりの暮らしを、抱かせました





さようなら
の 一歩手前で
あなたが瞼に口づけても
泣くことさえ許されないのでしょうか

氷に戻れない、と
冬が耳打ちしても
目元から水になって消えていくのを
止めることができない

( 夜明けの嵐が
( 寒さを刻々とゆるめながら戸を叩く

さようなら
は 永遠で
二人の底を絶えず流れていたもので
わたしが 今
いっしょに流れていこうとするのを
あなたは 置いてきぼりにされた子どものように
見ている

わたしも、そう
見たかった、だけ

あなたが目にしている世界は
あなたの目が果てしなく欠けているから
あなたは目を捕らえるための人形を作ろうとした

その思いを宿して、産声を上げたのが、わたし


失われるように
流れていく視界に
涙眼を映していたのは
あなた、だったか
わたし、だったか

知っているのは
二人が暮らした工房で
ツン、と 芽生えた

光の双葉だけ――
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COMMENT

2006-03-17-Fri-01:24

うわー

詩遊会さんから遊びに来たんですけど。
いいなあこれ。欲しい(笑)。
どの作品も、あったかさが漂ってきて、すごいなあって。また来ますね。足跡ぺた。
2006-03-18-Sat-21:43

ありがとうございます

うみねこさん、はじめまして
詩遊会さんから、来て下さったんですね!
私が彫刻家だったら、氷を削って人形をプレゼントできるのですけど(笑)
拙くとも思い入れのある作品なので、気に入ってもらえて本当に嬉しいです。
どうもありがとうございます^^

p.s うみねこさんから書きこみを頂いたあとに、詩を少し直してしまいました。
申し訳ございませんm( )m

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