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2011-08-18-Thu-23:55

Moon Child

みぎめは
ひだりめを
見たことないまま
自転車のように
視線をすべらせようとします

ひだりみみは
みぎみみに
触れたことないまま
底無しの
らせん階段を造ろうとします

わたしは
メヴィウスの環の中で
永遠にわたしに
めぐり会えないから
新月の晩に
身を切るように
わたしの片割れを産みました

 わたしが、光で
   あなたが、影で

喃語から物語を
ふくらませるように
あなたは
地球を踏みしめたばかりの
柔らかなかかとで
宇宙から流れる風を
耕していきます

ころがして間もない
半熟のことばが
小石につまずくと
あなたは
癇癪を起こして
わたしの腕の中で
むずかります

でも
半欠けの種も
うねりにうねって
やがては迷路をはらんだ
森になります

草木は
雷雨のような
種を降らせては
いのちが秘める可能性に
驚きを隠せません

ねえ、いつか
満月の口に
わたしが飲みこまれて
暗闇に惑ってしまったら
今度はあなたが
わたしを産みおとしてくれますか?

時々
泣きじゃくっては
あなたを
困らせるかもかもしれないけど
あなたを
千夜一夜の言の葉で
包めるくらい
もっと
もっと
奥深いヒトに
なれたらいいのに

 あなたが、光で
   わたしが、影で

月は
照らされていないと
満ち欠けることもできません


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2011-08-04-Thu-19:32

夕げの風

夏なのに
枯葉になりそうな手に
ハンドクリームをぬります

野菜と洗剤の匂いが残る
人さし指に
クリームの真珠を灯して

手を重ね
円を描き合って
若葉のつやを甦らせます

お母さん

わたしもこうして
数珠つなぎの
優しさに
育まれてきたのでしょうか

夕げの風が
想い出の庭に
さざ波を立てて

藍色の木漏れ日が
まるで天の川のようです





(Seasons-plus-2011年夏号 掲載作品)

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