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2005-12-31-Sat-14:56

365日分のギャザー

年明けに
心の糸を
玉止めして

眠ったり起きたりを
繰り返しながら
時の布地を波縫いして

年の暮れに
糸をきゅっと引っ張ると
365日分のギャザーができる

たぐり寄せられた思い出が
こぼれ落ちないように
両手でふんわり持ち上げて

12時の鐘が鳴り終わっても
心の糸が続くように願う
魔法の解けないシンデレラみたいに
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2005-12-29-Thu-22:16

ケチャップ

ぎゅっと
ケチャップのチューブをしぼって
出来たてのオムライスに
真っ赤なうずまきを描いた
かわりに涙が
ほほを伝わないように

悪いのはお前じゃない
と 言って
君はこの部屋から出ていった

ふたりの生活は
とっくの昔に
賞味期限が
切れたはずなのに

煮えきらない言葉で
終わってしまったかと思うと
さっきから心が
内出血したみたいに痛い

それでも 生きていて
それでも お腹も空いて
キッチンに向かっても
君が少年のような顔して
大好き、と言った
オムライスしか 作りたくなくて

何が悪かったのか
わからないまま
今までよくがんばったねと
満点をあげるような思いで
うずまきを花丸にしたら

ケチャップのすっぱさと
涙のしょっぱさは
似ていることに気づいて

おかしくなるくらい、泣きたくなった
2005-12-27-Tue-21:33

風と体

あっ、わたし
ふきとばされにきたのかもしれない

冬の砂浜では髪も波打って
耳も引きちぎられそうに寒くて
  ワタシヲ
  マモッテキタハズノ
  カタイカラサエモ
泡となっては
あとかたもなく消えていく

ただ、ひとり立っていることだけが
たしかになって
コートのせんいのすきまから
さみしがりやの風が
忍びこんでくる

そう、きみも、いっしょだね

両腕でぐっと
風に包まれた体を抱きしめたら
芯から潮の匂いがした
2005-12-22-Thu-22:44

てぃんさぐの花

私の父は沖縄生まれだから
血の半分は南国のものなのよ
と、言ったら
君は目を丸くして色々聞いてきたね
東京の凍りつきそうな夜に
白い息をふっと吐き出して
私は記憶をたどって常夏の話をする
うちの庭のユリやゴーヤのことや
黒砂糖がおやつだったこと
民謡も教えてもらったよと言ったら
君は知りたいと言うので
照れくささを感じながらも
懐かしい歌詞を口ずさんでみる


てぃんさぐぬはなや ちみさちにすみてぃ
うやぬゆしぐとぅや ちむにすみり


指先に息を吹きかけたら
爪が薄紅色に染められたように熱い
カサカサと両手をこすったら
君が何か言いたそうに見つめるので
私は唇をどうしたらいいか分らない
私と君は、友達
私が彼と別れたのを電話で告げたときは
ひどく落ち込んでいるみたいだった君も
もう彼のことには触れなくなった


てぃんぬむりぶしや ゆみばゆまりしが
うやぬゆしぐとぅや ゆみやならん


東京では星は
指折れば数えられるけど
街灯りの下の家々の物語は
どんなに指折っても数えられない
私と君は街灯りの隙間を縫うように
お互いの明るい輪郭ばかり見つめてきたけど
私が独りになったときから
(ひょっとしたら独りになる前から)
見えない指先を伸ばし
傷には触れないように
お互いの身体の奥まで確かめ合おうとして
思わずにはいられなくなった


私と君だって血を分けた子どもが産める可能性を



君が唇を開く
私の胸で種子が弾け
土に着かないまま
暗闇に燃え上がるように
赤い熱帯魚のような花が咲く
てぃんさぐの花が
ひとつ、またひとつ、咲いていく――







てぃんさぐは、沖縄方言でホウセンカの意味。
てぃんさぐの花は、沖縄民謡として有名です。
なお、詩はフィクションで、実在の人物とは関係ありません。
2005-12-16-Fri-22:21

君の名前

詩のフレーズを思いついたとき
メモをする
ひとつひとつの言葉を
忘れてしまっても
メモをスッと取り出せば
鉛筆を走らせたときの息遣いまで
いきいきと蘇えるように

私の生活にも
たったひとつだけ
心のポケットにしまっている
メモのような言葉がある

それは、君の名前

一人のときも
二人のときも
心のなかで
あるいは声にして
君の名前を呼んで

その次に
うれしいことや
かなしいことや
言葉にならない物語さえも
重ねていって

そしたらある日
君の名前の影で
失いたくない風景が
何ページも何ページも
スケッチされていることに
気づいたの
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